High and dry

それが魔法というものなら 死ぬまで解けないかも

APOGEEワンマンライブ2018「Higher Deeper」@代官山UNIT

 

内垣さんがAPOGEEを脱退する。

 

物理的なのっぴきならない事情であること、詳しい理由は今は話せないこと、3月のラストライブでは話せるかもしれないこと、が、この日のライブのアンコールで発表された。

 

頭が真っ白になったし、体中の熱という熱がサーッと奪われるような感覚に陥って、大切なものが目の前から消えてしまうと告げられたときってこんな感じだったなと、少しも働かない頭の片隅でぼんやりと思っていた。

 

内垣さん「音楽性の違いとか仲たがいとかなら後ろ髪引かれることもないんでしょうけど、今めちゃくちゃ仲良いんですよね……。だけど事情があって、物理的にどうしても難しくなってしまって」

 

永野さん「“こんないい時になんで辞めるかね”って言ったんですけど、ほんとうにどうしようもないんですよね」

 

APOGEEはメジャーを離れたあと音楽以外の道にも進んでいるメンバーがいて*1、ライブは半年に1回だったりアルバムは3~4年に1枚だったり、活動のペース自体はゆるやかになったけれどその分ある意味安定していて、そうやって4人でずっと続いていくんだと思っていた。信じていたというよりも疑わなかった。

だけど二足のわらじを履くということは、バンド内の問題以外の事情でバンドを離れなければならなくなることだってあるんだ。そのことをわたしは、まったく、これっぽっちも考えていなかったな、と思い知った。どうして当たり前に「このまま」でいられると信じきっていたんだろう。

だけどそう思えるくらい今のAPOGEEは充実していたし、そのことを折に触れファンに伝えてくれてもいた。しかも、「APOGEEみたいなバンドはもうよっぽどのことがない限り脱退とか解散とかあり得ないんですけど」って内垣さんが言うんだ。ほんとうにそうだよ、たいていのファン、特にあの活動休止期間を生き延びたファンはみんなそう思ってたんだよ。でもそれをよりによって脱退する人が言うんだから、その「よっぽど」に直面してしまったということなんだろう。

 

脱退を発表したあとのアンコールの3曲を聴いていたら、辞めなくて済むのなら辞めたくないんだろうな、引き止められるものなら引き止めたいんだろうな、というのが痛いほど伝わってきて、余計に悲しかった。そういう気持ちになんとか整理をつけての、今、なんだろうなということも。まだ詳しい理由を聞かされてはいないけど、伝わるものは十分にあった。ほんとうにもう、どうしようもないことなんだ。仕方がない。仕方がない、けど。

 

何が悲しいって、メンバーがAPOGEEというバンドをすごく大事にしているのもわかるし、APOGEEが活動内容的にも音楽的にも今すごくいい状態なのはファンの目にも明らかで、しかもその事実をメンバーとファンが共有し合えているという実感まであるのに、それでも内垣さんは辞める選択をしなければならない。誰のことも責める気にならない、文句なんてあるわけがない、だけど、こんな悲しいことがあるのかよ……。

 

できることならみんなずっとAPOGEEでいてほしかった。わたしはAPOGEEの音楽が好きで、APOGEEのライブが好きで、そこには4人の人となりも4人が作り出す空気感も含まれていて、それ全部込みでAPOGEEのことが大好きだから、その形が変わってしまうのが寂しい。頭ではとっくに理解も納得もしているのに、心が全然ついていかない。この4人のライブがあと1回しか観れないの、意味がわからないしすごく嫌なんだけど、ほんとどうしよう……。そもそもチケットが取れるのかもわからない。

 

そういえばアンコールのとき、すぐに脱退の話をせずに「9月26日で44歳になります」なんてワンクッション置いてくれたのは内垣さんなりの優しさなのかな。オッシーが珍しく自分からMCに参加してよく笑っていて、最初は(歳取って丸くなったのかな。だからライブでもより自然体でいられるようになったのかな)なんて微笑ましく思っていたんだけど、どうやったってファンが動揺するのは避けられないけど少しでもいつも通りの楽しいライブを作ろうとしてくれたのな。もしそうだったら、メンバーのことがいとおしくてしょうがないよ。

 

救いなのは、それでも続ける選択をしてくれたことかなあ。

 

3月くらいの、それこそ新譜が出たタイミングのインタビューでオッシーが「今、絶対止まりたくない」と言っていたし、止まってほしくないのはわたしも同じ気持ちだから。それが「4人で」ではないのがほんとうに残念だけど……って、これはもう堂々巡りだな……。

 

あまりにもショッキングなことで余韻も何も全部飛んでしまいそうだったけど、ライブはすっごく良かった。『Higher Deeper』はライブで映える曲ばかりでどの曲もめちゃくちゃ気持ちよかったし、改めていいアルバムだなあと思った。特に「KESHIKI」はやばいほど素晴らしかったな!!!!永野さんのアカペラから始まったのがずるい、ずるすぎる。

 

 

これから11月までひと月以上ライブに行く予定がなくて、逆によかった。すぐにはそんな気分になれないし、しばらくは何を見ても寂しくなりそうだから。でもきっとずっと寂しいな。どうしよう、ほんとうに。

 


APOGEE -Heart of Gold‐

 

*1:内垣さんは医療系の専門職、間野さんは医学部の学生

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