High and dry

それが魔法というものなら 死ぬまで解けないかも

GRAPEVINE tour 2017 extra show@東京国際フォーラム ホールA

GRAPEVINE tour 2017 extra show」2017.12.1@東京国際フォーラム ホールA

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GRAPEVINEが国際フォーラムでツアーファイナル”、という事実がいまいち頭の中で処理しきれずに(失敬!)、何度も来ている会場なのに

「でかーい! ひろーい! すごーい!!」

と目を輝かせてアホみたいに口走ってしまったわたしです、こんにちは。

 

GRAPEVINEのみなさま、全国ツアーお疲れさまでした!

 

「20周年とは言いつつ、我々今年はいいアルバムを一枚作っただけ」

「種も仕掛けも派手な演出もありません」

「そんなバンドのツアー最終日にこれだけの人が集まってくれたのは、各地でいいライブをお届けできた証なんじゃないかと」

という我らがボーカリストのスーパーかっこいいMCがすべてなんですけど、今年もいいアルバムを作ってくれて、ツアーをやってくれていい演奏を聴かせてくれて、そんな通常営業(という名の尊さの極み)のなかで「20周年おめでとう」と言わせてもらえて……ほんとうにバインファン冥利に尽きる一年だったなあ。まだ今年終わってないけど!

胸がいっぱいで泣き笑いするような、そんな幸せな瞬間がたくさんありました。

たぶん今、センチメンタル過剰な気はしているんだけれど、特に印象的だったことをここに残しておきます。未来のわたしが読み返してニヤニヤしたり泣いたり笑ったりするために。

 

まさかの「その未来」選抜入り

すまんが早速語らせてほしい。これはもう書かずにはいられないです、なんたってその未来担なので。最後にライブでやったのは15周年のNHKホールだからなんと5年前(!)、その前はそこからさらに遡ること3年前……いかにライブでやってないかがわかる数字です。しかもNHKホールのときは「déraciné」収録曲はとにかくスルーされまくっていて(根に持つdéraciné厨)、アンコールでようやく、っていうアレ。仮にもシングル曲なのに、冷遇されすぎじゃないだろうか。それが今ツアーでは本編のレギュラーだもの……どうしたんだよバインちゃん!ってにわかには信じられなかったもの……泣けるわほんとに……。東京初日の感想にも書いたけど、なんでやってくれないの?なんて恨みごとを言う季節もとっくに過ぎて諦めの境地に達していたので、こんな、「ここぞ」というタイミングで持ってこられちゃったらもう迂闊に怒れないよね……ずるい男たちだよ……。ということはまた向こう5年は聴けないのでは!?とすでに戦々恐々としてますけど。それはそれで泣けるわ。というか泣きたいわ。

 

「会いにいく」

これも非常に思い出深い曲なので。仙台のアンコールで聴いたときにはもれなく2011年の振替公演を思い出して、またそういう優しさ出してくる~~~~と泣いたわけですけど、そんなことがあってからの最終日に、「各地でこんな曲をやって、みんなに会いに行ってきました」とか言うからもう!!なんだよそれ~〜!!と思ってまた泣いた。バンドに限らずですけど、会いに行けること、次の機会があることは何ひとつ当たり前じゃないとわたしたちはもう知っているから、「会いに行く」という言葉も行為もめちゃくちゃ優しくて切なくて胸がぎゅっとなる。あと、こっちが勝手に会いに行ってる気でいたのに、そんな優しいこと思ってくれてたの……?ってびっくりした。するよね!?それでなくても、GRAPEVINEって優しいよな……とここ数年よく思うのに。はあ、歳かな。

 

アニキのコーラスが絶品

メンバー全員がコーラスの匠でおなじみのGRAPEVINEですが、とにかく今回、わたしはアニキのコーラスに毎度骨抜きにされてました。つまり「こめかみ」と「聖ルチア」です。「こめかみ」のコーラス、国際フォーラムの音響で聴いたら今まででいちばん耳とお腹にずどーんと響いてきて超気持ちよかった。田中さんのボーカルが芯だとして、その真っ直ぐ伸びた太い芯の周りをぴったり取り囲むように包んでいて、 さながらツインボーカルのようでしたよ。コーラスの音量は大きすぎてもいけないけど、この曲に関してはボーカルに負けないくらいしっかり聴こえるのが合うと思っているから、痺れましたねえ。「聖ルチア」は歌っているアニキが無性にかわいくて大好き!!「レアリスム婦人」のサビもいいものです。もちろん。

 

「頑張る大人に捧げルチア」

そんな「聖ルチア」は、ツアーの途中から加わったこの脱力曲紹介がめちゃくちゃ効いていたのでした。くやしいけど(笑)。国際フォーラム、わたしの観測範囲には見事にアラサー以上の大人しかいなくて、自分も含めていい歳の大人たちが思い思いに体を揺らして楽しそうに嬉しそうにステージを見ている姿にめちゃくちゃグッときてました。「負けるもんですか」!

 

「Arma」という大名曲

「本編ラストはArmaか!ですよね!!」と納得しきりの初日だったり、客席をこの上なくいとおしそうに見渡しながら歌う田中さんがたまらなかった長野だったり……そして最終日のArmaもすごかった。「次の夏が来ればいい」と歌いながら自分たちを示すように腕を広げていたのが、もう泣けて泣けて。「例えばほら きみを夏に喩えた」「武器は要らない 次の夏が来ればいい」っていう一節が、改めてものすごく大きな意味を持った瞬間に見えたというか。これ本当にすごい歌詞だよ。ここで歌われる「きみ」は、音楽そのものであったり、支えてくれた周りの人たちであったり、お客さんだったりすると言っていたけれど*1「“武器はいらない”と言えるスタンスやメンタリティーこそが武器」とまで言えるような人(たち)が「次の夏が来ればいい」と歌う、その重みと力強さよ。ほんとうに心が震えたし、来年も再来年も、またこうして次の夏(ツアー)が巡ってきますようにと願わずにいられなかったです。

 

最後に、泣いてしまうやつ二連発。

いい写真!

と、金やんのブログ。

いつのまにかなくてはならない愛おしいホームになった。かけがえのないホームである。

旅の終わり。 | Hola! 金戸庵

 

GRAPEVINEの音楽とGRAPEVINEを構成するすべてがいとおしくて、大好きだ。これからもどうぞよろしくね。また次のツアーで会えるのを心から楽しみにしています!

 

 

【セットリスト】

1.The milk(of human kindness)

2.EVIL EYE

3.Suffer the child

4.ソープオペラ

5.COME ON

6.こめかみ

7.RAKUEN

8.Chain

9.世界が変わるにつれて

10.Silverado

11.Our Song

12.これは水です

13.楽園で遅い朝食

14.CORE

15.カーブ

16.聖ルチア

17.レアリスム婦人

18.Shame

19.Buster Bluster

20.BLUE BACK

21.その未来

22.Arma

‐en.‐

23.会いにいく

24.光について

25.豚の皿

26.覚醒

 

 

余談も余談。

バインはホールが似合うと常々思っているし、国際フォーラムもハコ自体は好きだけれど、バインのライブに関してはNHKホールくらいの大きさが好きかなあ、と。

出音自体はいつものようにでかかったしそれはいいんだけど、いつものダイナミズムというか、生々しさには少し欠けたような。あと、フォーラム云々というよりあの日のPAの問題だと思うんだけど、各楽器の聞こえ方に差がありすぎませんでしたか……わたしがいたところが特にそうだったのかなあ、どうなんだろう。

前方エリアのどセンターは、田中さんのギターが埋もれちゃってるなあと感じる瞬間が多くて残念でした。「レアリスム婦人」なんかうっすらとしか聴こえなかった……楽しみにしてたのになー!

*1:『ROADSIDE PROPHET』特典DVD「GRAPEVINE DOCUMENTARY 20 YEARS LATER」より