High and dry

それが魔法というものなら 死ぬまで解けないかも

ストロベリーショートケイクス(矢崎仁司/2006)

ストロベリーショートケイクス [DVD]

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大失恋を経てデリヘルの電話番を務める里子(池脇千鶴)、そのデリヘルで働いている秋代(中村優子)、一方イラストレイターの塔子(岩瀬塔子)と、その同居人で結婚願望の強いOLのちひろ(中越典子)。
性格も職業も異なる4人の女性がそれぞれの幸せを求めて自分との小さな闘いを積み重ね、自らを肯定して生きていくまでの模様を描く。

わたしの10代のナンバーワン(安藤政信)と20代のナンバーワン(加瀬亮)が出ているというのに、ここまで観たいと思わない映画ってある意味すごい。と思っていた作品をようやく観ました。

痛々しい、という感情は嫌いじゃないです。痛々しいと思うような部分こそその人らしかったりするし、いとおしかったりするし、人間なんてみんな一様に恥ずかしい生き物だから。でもそんな彼女たちの痛々しさが、ここでは、「イタイ」でしかない。彼女たちを切り取る目線に温かさも優しさも感じられない。それが狙いなのかどうかも、ちょっとわからなかった。
別に、誰にも共感できなくてもいいんです。誰かに自分を重ねたり、感情移入したくて映画を見るわけではないので。でもなんて言うんですかねー…この後味の悪さは……胸くそ悪いってこういうときに使えばいいの?(たぶん違うと思う。

いろんなタイプの性描写がたくさん出てくるけれど、これがまた厄介で。登場人物たちの心情を映す鏡としての役割もあるなと思ったんだけど、それなのになんの感情も動かないんです。どれを見ても、いやらしくも色っぽくもないし、もちろん気持ちよくもない。なんとなく汚いものを見ているような気にすらなる。それも狙いなの? どうなの?
秋代が長年想い続けている友人の菊地(安藤くん)に酔ったフリをして迫ってセックスする場面ですら、哀しさよりも切なさよりも嫌悪感が先にくるし、永井(加瀬くん)が使用済みのコンドームを手につまんなそうにぼーっとしている横から、ちひろがそれをつまんで「いっぱい出たね」とか言って笑ってるシーンなんか、この馬鹿女笑ってる場合かっっ!!!!! とかわけのわからない突っ込み入れちゃったもの。あー、書きながらまた気持ち悪くなってきた。

この永井という男は一方的に嫌な男としてしか描かれていないのですが、ちひろの恋愛依存体質が気持ち悪すぎるせいでぜんぜん嫌な男に見えない(笑)むしろ、めんどくさい女に手ぇ出しちゃって災難だったねえ…と思って同情すらする。で、永井もそう思ってるはずだし。別にこの女のこと好きでもなんでもないもんね、という感じがよく出てて良かったです。あ、だからあの気持ち悪さと鬱陶しさマックスの別れ話は、ある意味秀逸なんだな。おおー、褒めるところが見つかった! ということで以上です。