『さきちゃんたちの夜』、めちゃくちゃ良かった。
ばななさんの短編集はほんっとうにいいな! と思わされる。中編も大好きだけどね。
表題作の「さきちゃんたちの夜」でごーごー泣いてしまった。
主人公“崎ちゃん”の姪である“さきちゃん”に、つい我が家の姪っ子を重ねてしまって(片親になってしまったこと以外に共通点はないしその理由もまったく違うのに)、そうしたらあれよあれよと家族とのいろいろを思って、夜中にひとり、ごーごー泣いてしまった。
以下、本文から抜粋。
人と共にいるのは個の自分にとってはとても不自然、でも種としては限りなく自然なことでもあるのだ。
(中略)
その感覚を忘れてはいけない。人の体臭、息づかい、手のぬくもり、しっとりした生温かさ。そういうものがただただ気持ち悪くなってきたら、種としての自分が危うくなる。
うちにはまもなく大人に差し掛からんという年頃の姪っ子と小さな小さな甥っ子がいるのだけど、子どもらを中心に昔とは違うかたちで家族を再構築しているという実感があって*1、子どもってすごいな、とあらゆる場面で驚いたりしみじみ泣けてきたりする。
わたしはひとりで勝手気ままに生きている時間が長すぎて、その気楽さに慣れすぎてもいて、「種」であるところの自分をほとんど意識してこなかったところがあるけど、子どもらを通して家族とはなんぞや、みたいなことに改めて思い巡らすことが多くなっていたから、「種」と「個」の話はすごーくタイムリーというか、ビシッと刺さりました。
*1:団欒しちゃったり、ちょっとした会話でも、あ、なんか今いい時間だったな…と思うことが多々あって、輪にいながらびっくりする。