High and dry

それが魔法というものなら 死ぬまで解けないかも

SMAPのこと

最初は、混乱していた。何があったか知らないがなんでこんなことになるんだ、と混乱していた。次は、とにかく待とう、待っている間に出来ること、したいことをしようと思ってCDを買った。ハガキを書いた。わからないことを気に病んでも仕方がないと奮い立たせた。
そうして、あの生放送があった。また混乱した。どうしたら良かったのか、どうしたらいいのかわからなくなって動けなかった。悔しかった。悲しかった。次の日、起き上がれない自分が情けなかった。

報道から11日、緊急生放送から6日、やっと気持ちが落ち着いて、ふつうの生活ができるようになったので、自分の今のありのままの気持ちを書いておこうと思う。

ずーっと考えていたのは、メディアで事務所に都合のいい情報だけが延々と流れる中、ついにはあの生放送でのメンバーの発言すら事務所の台本であったと読み取れてしまう今、独立だ解散だと騒ぎ立てることで事務所は何をなし得たかったのか、ということです。ジャニヲタだけじゃなく日本中を巻き込んで「公開処刑」「むしろ謝罪すべきは事務所」とまで言われて、結局誰も得しなかったけどそれでいいの? と。

わからない、ぜんっぜんわからない。事務所がどこまでの騒ぎになることを想定して、どこで決着をつけるつもりで、どんなストーリーを用意していたのかが。

あの謝罪会見もどきは、事務所を出るも残るもお前らの良いようにはさせんぞと、お前らに決定権などないと、とにかく雇い主としての権力を誇示したかっただけにしか見えず、それならそれで別にいいけど(裏でやってくれる分にはな!)、だったらもっと上手くやれよって話で、「悪いのはSMAP」で「負けたのもSMAP」でそれを「寛大な事務所様が許して受け入れてあげた」とファンや世間に思わせたいなら、こんなお粗末な結末ではむしろ逆効果じゃないか。SMAPが不当に傷つけられただけだ。腹立たしい。

今回の件に限らず、あの事務所がいろいろとおかしいこともクソであることもヲタクがいちばんよく知っている。そんなことはヲタクだけが知っていればよかったのに、こんな最悪な部分をこんな最悪な形で世間に(しかも経営陣自ら)晒してしまってどうするんだろう。これから、世間にSMAPはどう映るだろう。あれだけの大スターでありながら言いたいことも言えず事務所に縛られてしまったかわいそうな人たち、という風に見られても不思議じゃないのではないだろうか。SMAPだけじゃない、ジャニーズの他のタレントたちだって同じだ。
事務所はクソだが、アイドルが届けてくれる輝きやコンサートの幸せな空間はいつだって本物だ。その輝きに、事務所は泥を塗ったのだ。


以前、雑誌*1である映画監督が香取慎吾さんについてこんなことを言っていた。

あらゆる種類の仕事に追われる彼に、あるとき「自分を商品のように感じることはない?」とシビアな質問をぶつけてみたんです。
そうしたら彼は「愛される商品ならいいんじゃないですか?」と返してきた。


わたしはこれを読んだとき、あまりに達観しすぎていて少し胸が痛んだけど、違う、これは慎吾くんのアイドルとしての矜持だと思い直した。ファンの勝手な感傷なんて寄せ付けない、こんなかっこいいアイドルの生き様があるのかと思って心が震えた。慎吾くんに限らず、SMAPは全員がこれと似たような意識を持っているんじゃないかと勝手ながら思っている。
アイドルのいちばんの仕事は愛されることだ。愛されて求められることが、そのアイドルの商品価値につながっていくとわたしは思っている。SMAPは、ファンだけじゃなく本当にたくさんの人に愛されて求められて、そうしていつしかアイドルの枠に収まらない日本を代表するスターになった。SMAPはもうとっくに事務所のお荷物ではないし、事務所が適当に好き勝手に叩いたり汚したりしていいもの(商品)でもない。

メリーさんは所属タレントをみんな「うちの子」と呼ぶそうだ。さながら我が子のように思っているようだけど、「うちの子」と言ったその口で、その手で、大切なはずの「うちの子」の矜持も商品価値もズタズタに傷つけたことを自覚しているんだろうか。

…ただ、一年前の文春の記事、あれを世に出すことをOKとしている時点で、なんのかんのと言いつつメリーさんはSMAPに愛着もなければ評価もしておらず、飯島さんもろともいっそ潰してしまっても構わないくらいにしか思ってないんだろうなとわたしは受け取ったので、とにかく自分の目の黒いうちにSMAPの商品価値やメンバーのキャリアに傷をつけたい、泥を塗りたい、そりゃいっときは事務所もイメージダウンするだろうし巡り巡って他グループにも迷惑がかかるかもしれないけどそんなことはどうでもいい、と思ってのことであれば……成功したと言える…のかなあ……。
さすがにそこまで無茶苦茶じゃないと思いたい。だけどあのなりふり構わなさは、経営者としてよりも個人としての私利私欲を優先したやばすぎる事態なのだと思う。やばすぎるが、そうでも思わなきゃやってられない。大丈夫かあの会社。大丈夫じゃないだろう。


結局、あの謝罪会見もどきでは、事務所とSMAPの間で具体的に何があったのか、SMAPはどうなるのか、ファンが知りたかったことは何もわからずじまいだ。*2

わかったことは、5人がSMAPを諦めてはいないということだけ。
かっこ悪くても、人としての尊厳を傷つけられても、SMAPを守るために頭を下げた。

繰り返しになるけど、わたしはあの生放送での発言がメンバーの真意だとは思っていないので、木村さんの言う「ちゃんと自分の言葉で話せるとき」は、まだ訪れていないということになる。それがいつになるかはまったくわからないけど、信じて待つべきはメンバーの言葉やアクションだけ、という思いはこの先も変わらない。

それにSMAPというのはつまり中居正広のことなので、中居くんがやるって言う限り続くし、中居くんがやらないって言ったとき、それがSMAPが解散するときだと思う。でも中居くんが描くシナリオに「分裂による解散」も「事務所に解散させられる」もまずないはずで、だからこそ中居くんとSMAPはたぶん闘ってる。もう、めちゃくちゃに踏ん張ってる。
中居くんは意味のないことは絶対にしない人だから、2TOPが揃ってSMAP SHOPに来たのも、CDTVでの「STAY」も、きっとこの事態を見越してファンにだけわかるようにクッションを敷いてくれたのだ。そうして今も、あれこれ話せない代わりに、ラジオを通じて、SMAPの曲でメッセージを送ってくれてる。


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これで一件落着と言えるわけもなく、正直まだまだ不安なことだらけだ。
それでも今日もSMAPは、テレビで、ラジオで、CMで、仕事を通してわたしたちにいろんな姿を見せてくれる。そのことをすごく嬉しく思う。どうかこれからも、SMAPSMAPのままでいられますように。わたしが望むことはそれだけです。


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今日のパワスプで慎吾くんが「ハロー」をかけていて、ああ! 大好きだよハロー!! ってなってまたちょっと泣けましたよね。

「いつでも君が決めた事をただ信じられますように」。

*1:マガジンハウス発行「THE SMAP MAGAZINE」。一冊まるごとSMAPというなんとも素晴らしい雑誌です。

*2:こうなるともう事務所の公式発表である「協議中」という文言すら疑ってしまうし、4対1の構図は端から信用していない。